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造船業は日本を支える上で必要不可欠なのは分かりますがそれは既に造船業が衰退した欧州やアメリカなどでも同じでは無いでしょうか。日本ほど海上輸送に依存していないものの重要であることには変わりないはずです。彼らは造船業を他国に握られている事についてどう考えているのでしょうか。

ご質問ありがとうございます。 海外諸国の政治的観点などは私には理解できませんので、以下はあくまでも私の個人的な考えとなりますことをご了承ください。 まず、欧米造船業についてですが、市場レベルで見ると確かに衰退しておりますが、それは技術力の損失を意味してはおりません。建造からエンジニアリング事業へのシフト、あるいは客船や海上構造物、軍艦など高付加価値船への集中です。 このため、欧米造船業は一般商船の建造を企業利益の面から辞めているだけにすぎません(コスト面や造船所規模などの面から日中韓に勝てないため)。 なので、極東の造船所に一般商船の建造を依存してはいるものの、建造技術それ自体が失われてはいないと思います。 では、そのような海外依存を良しとするのかについてですが、海上貿易への依存性についてはやはり大きな要因を持つと思います。 ご存知の通り、日本は貿易の99%を海上輸送しているなど、造船業は文字通り国家安全保障に直結するものとなります。 しかしながら、彼ら欧米系はそれほど海上輸送に依存しておりません。 例えば、天然ガスであればロシアや中東などから欧州各国にパイプラインが伸びており、わざわざ海上輸送せずとも入手可能です。もっともエネルギーセキュリティの観点から複数の輸入路は確保されてます。 また、2007年の世界主要国LNG輸入は日本(38%)、韓国(16%)、と極東2か国だけで過半数を出しており、他の国では自国で生産、消費 しております。 (出所:「LNG海上輸送の今後の展開」森隆行(流通科学大学商学部教授)より)。 このように、LNGのほか石炭など、資源の大部分が欧州では陸上輸送が可能であるということが、造船の重要性を下げているのだと思います。 北アメリカ大陸は資源が豊富に眠っており、海上輸送に依存することは無いでしょう。アメリカー欧州航路での資源輸出入もありますし。 雑ではありますが、欧米諸国が商船建造を日中韓に依存していることについて、彼らはあまり気にしていないのではないかと思います。なぜなら、 ①欧州各国にパイプラインが巡っており、ロシアや中東から船舶を経由せずに輸入可能。 ②石炭などは陸上での鉄道輸送が可能。 という大陸国家であるからです。 ただ、これらはあくまで思私の個人的な観点なので、正否は不明です。 資源輸入路が陸路にあるか海路にあるかで、造船の重要性は大きく変動します。彼らは陸路に優位性の高い安定したラインがあるため、海外に商船建造を依存してもそれほど問題視しないと思います。 このようなはっきりしない回答になってしまい、申し訳ありません。 参考 ・経済産業長資源エネルギー庁:グラフで見る世界のエネルギーと「3E+S」安定供給② ~燃料の輸入先はどこ? ・「LNG海上輸送の今後の展開」森隆行(流通科学大学商学部教授)など。

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