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磁場中を運動する非相対論的な電子のハミルトニアンには、運動項を展開した結果、ベクトルポテンシャルの2乗 A^2 に依存する項が現れます(右辺最後の項)。
[p+eA]^2/2m = p^2/2m + e[p・A + A・p]/2m + e^2A^2/2m

非相対論的な場 φ のラグランジアンでも、(おそらくこれと関連して)-e^2A_kA_kφ^†φ/2m のような項が出てくると思います。

相対論的な量子電磁気学では、偏微分を共変微分に換えてゲージ粒子を導入しても、A^2 項は現れないので、光子に自己相互作用が無いという話だと思いますが、非相対論的な場合はなぜ上のような、いかにも自己相互作用してそうな項が出てくるのでしょうか。非相対論的な場合は運動項が p^2 に依存するのに対して、ディラック場の場合は p に依存していることが数式上の要因であることは想像できますが、この項の物理的な意味が分からなくてもやもやしています。

というのも、原子に束縛された電子系を考えたときに、この項を摂動論的に扱うことで、全ての物質が(微小な)反磁性を持っていることが言えるのですが、この反磁性の原因を古典的なこじつけに頼らずに説明しようとすると、この項の意味は何だろうかという疑問にたどり着きました。

(因みに、始めに書いた式の p・A + A・p の項は、電子の軌道角運動量と磁場の相互作用を表し、常磁性を生む、というすっきりした解釈ができます。)

しばらく考えてみて分からなかったのですが、それについて私の記事の中で書いてあるのをたまたま見つけました。大昔に書いたきり再検証していないので自信がありません。そこでは、電子の角運動量に起因する磁気モーメントを双極子で近似してしまっているけれども、電子の円電流が作る磁場は正確には双極子とは違っているのでその誤差が現れているのだという説を唱えているようです。 https://eman-physics.net/quantum/angular.html

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