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配向性に関する質問です。
ベンゼン環に2つの官能基が付いていて、互いの配向性が噛み合っていない場合、どちらの配向性が優先されるのでしょうか。
例えば、p-フルオロトルエンに官能基を付加すると、どこに付きやすいんでしょうか。
単純に電気陰性度の強い方が優先と考えてしまって良いんでしょうか。

やや難しい話になりますがご了承ください。 配向性を決める置換基の要素は大きく3つ挙げることができます。 ①電気陰性度の効果 ②共鳴の効果 ③立体障害の効果 このうち、③を無視できる場合(①と②のみを考えれば良い場合)については Hammett則 と呼ばれる規則性を用いることができ、簡単に言えば各置換基が各位に与える配向性を単純に足し合わせた配向性が実現されます。③を無視できる場合というのは要するに、これから結合する基が既にある置換基のo-位に入らない場合のことです。「足し合わせる」とは具体的に何を足し合わせるのかというと、置換基ごとに各位について測定された「置換基定数」という値を足し合わせます。置換基定数は①と②の効果の総合的な結果を測定した値なので、単に電気陰性度だけで配向性の優先順位が決まるわけではありません。 例として上がっているp-フルオロトルエンはどの基もいずれかの置換基のオルト位になってしまうためHammett則の適用外となってしまいます。より簡単な例としてo-フルオロトルエンの配向性を計算してみると... Hammett則よりm-配向性になりそうだという結果になりました。 そういうわけで、多置換体での相反した配向性を定性的な議論のみで読みきるのは難しいです。うーん...パッと見た感じだと傾向としては、共鳴の効果が得られる置換基はそうでない置換基よりも配向性が優先されそうな感じがあります。 というわけで、配向性が噛み合わない場合を論じると実は結構な込み入った世界に突入します。具体的には、化学科の大学2~3回生の講義で触れるような内容です。ここに書いたものは極めて簡単な説明のみなので、詳しくはHammett則で調べてみてください。『化学セミナー10 ハメット則』(稲本直樹, 1983, 丸善株式会社)は古い本ですが説明が丁寧で分かりやすかったです。

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