言いたいことはよく分かる。 障害の有無や元々の能力の違いが，どんな生涯を送るかを左右することもあるから，悲惨な人生の典型例とか人生が苦痛に満ちていることの理由の一つとしては挙げることができるだろう。 しかし死は平等にすべての人間に訪れる。誰も死を免れることはできない。 これこそ，反出生主義が障害や能力の劣りがない人達にまで言及する理由だ。 私達は，特定の誰かだけでなく，全ての人間の出生を止めさせるべきだという考えを持っている。 障害のある人が始めるに値しない（或いは続けるに値しない）人生を送っているからといって，健常者が全くもって幸福な人生を送っているとは限らない。 このことからも，障害者と健常者のどちらを優先するか，みたいな次元のことではないと分かって頂けるのではないだろうか。