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希ガスの安定性は最外殻のs軌道とp軌道が閉殻であることが原因ですけどそもそも閉殻だと安定なのはなぜですか

化学反応が起きる、すなわち原子間に共有結合が生じるためには、互いの原子が電子を与えたり奪ったりする(つまり電子を共有する)必要があります。 貴ガス原子が電子を受け入れるためには、次の殻にあるs軌道に電子を格納する必要がありますが、この軌道までのエネルギーギャップが大きいため実際には電子の格納を行うことが困難です。実際、貴ガス元素の電子親和力は一律に負です。 また貴ガス原子が電子を与えるためには、同周期内で最大となる有効核電荷を振り切った上で、既に電子対を形成し安定している軌道から電子を取り除く必要があります。これがエネルギー的に不利で進行しにくくなっています。実際の貴ガス元素のイオン化エネルギーは2400~1000 kJ/mol程度で、非常に大きい値となっています。ただしXeやRnに見られるイオン化エネルギー1000 kJ/mol程度という値は努力次第でどうにかなる数値です。ここに勝機を見出して合成されたのがキセノン化合物です(ラドン化合物も合成されていますが、ラドン原子は放射能を持つため研究があまり進んでいません)。 こうした疑問は、大学範囲の「無機化学」の教科書を当たると解決することが多いですよ。この回答の裏取りも『シュライバーアトキンス無機化学』でおこないました。

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