魔夜峰央先生も若い頃は、作品を見る眼力はあるけれど、それに見合った技術がなくて、漫画を描いていて辛かったと、語っておられますね。自分の作品を見る目はあるので、技術の稚拙さが自己判断できてしまう。これを『眼高手低』と命名されていましたが。逆に言えば、その辛さは成長痛だとも言えそうです。 また、モチベーションを保つのは、プロでも難しいのですが。「漫画家は、漫画だけではなく恥もかく商売」と、あるベテラン漫画家さんが仰っていました。作品の完成度に不満はあっても、どこかで割り切るしかないですし。そのときベストを尽くした作品も、数年後に見返すと、不満だらけですし。 ベテランのプロでさえも、そうなんですから。いわんや投稿者やデビュー10年未満のプロは、出来上がったものは現時点での自分のベストで、今日の経験値を元に、明日はもうちょっとだけ上手くなる、と思いながら執筆するほうが、健全でしょうね。植木金也先生は、そうやって97歳まで執筆されました。 自分の好きなアニマル浜口さんの言葉で、「苦しんで泣き 悩んで泣き オレは何でこんなことをしているんだとまた泣き 一瞬の喜びのために人間は泣く」というものがあります。天才は、たしかに羨ましいですが、他人ができないことを簡単にできるので、感動がないことが多いとか。 逆に、凡才はなかなかできないからこそ、やっとできたときの感動も大きいですよね。どの世界でも、天才的な才能がある人よりも、ちょっと才能には欠けるけれど、この達成する喜びを知ってる人間のほうが、一流になれると言われます。浪曲の世界では「名人に美声なし」という言葉もあるとか。 フォークダンスDE成子坂という漫才コンビは、同じ舞台に立った同業者の爆笑問題などが、桶田敬太郎さんを天才と評していましたが。天才ゆえに、執着がなく、あっさりコンビは解散してしまいました。漫画家でも、有り余る才能ゆえ、あっさり廃業してしまう人を、何人か見てきました。 そのめげる心が、推進力になることもあるので。とにかく、一日に30分以上は描くこと。人間、モチベーションが上がって描くのではなく、やってる内にモチベーションが上がってくる傾向が顕著だとか。習慣づけと、30分程度は我慢する心。これが大事かもしれません。
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