前提としてD-tec付加装甲の同等品が一朝一夕で開発出来る様な物ではないとして、まず性能が一長一短であり、要求を満たす同等の装甲を別アプローチにて開発しているからです。※1 例えば開発当時のD-tec付加装甲は、記事でも触れましたが対CE型と対KE型の2種が存在し、CE型ついては当時英国がNERAで達成可能な質量効率を大幅に上回る性能を発揮した一方、対KEについては性能は悪くはないものの、当時の英国が開発した新型Chobham装甲には及ばない程でした。寧ろ業界では対CEについては脆弱であるものの、米国のM1A1向けに開発されていたDU装甲の方が当時最高の対KE防護力が有ると見なされており、その性能も一長一短と言った具合で登場時点においても完璧な(付加)装甲であった訳ではありませんでした。D-tec付加装甲自体についても、その特徴的な楔型の傾斜したレイアウト形状の関係上、着弾位置に応じ防護力が若干増減する性質に加えて、質量効率に優れる一方で比較的容積を取る短所も存在し、同等の防護力を主装甲内で完結可能なのであればそれに越したことはありません。 その為、当時の英国は別の思惑もありましたが※2、米国と共に特殊装甲を共同開発し、DU装甲の弱点を補う形で得意分野に関する情報を提供することで対CEにおいてD-tecと同等の質量効率を発揮するM1A2向けのDU装甲を新たに開発するなど、D-tecとは別アプローチにて新型の特殊装甲を開発しています。 尤も、上記の話は1988~1990年頃のドイツから部分的に情報提供されていた開発段階のD-tecと主装甲の性能であり、実際に完成したC-tecとD-tecを備えたLeopard 2A5は当時最高の弾道防護力を備えていましたが、何れにしろ当時ですらD-tecが常に最適解とは限らず飽くまで付加装甲の一形態でしかない事を端的に示唆しています。※3 また、付加装甲に限っても現代においては既にMEXASの直接的な後継にあたるIBD社(現RPS社)のAMAPやEODH社のASPISを筆頭により新たな技術に基づいた新型の装甲も登場しており、最新の主装甲と併用するD-tec付加装甲は依然有効ですが、Leopard 2向けとしてもより良いオプションが用意されています。 尚、D-tecと同等の効果自体は重反応装甲によっても達成する事ができ、マルチヒット性や信頼性に劣りますが東側についてはそうした付加装甲によって防護力を向上させる傾向にあります。 ※1 D-tec付加装甲それ自体とは別に、D-tec技術は"空間を用いた付加装甲技術"であって専売特許と言う訳では無い ※2 英国が新型戦車(後のChallenger2)の導入を検討していた当時、特殊装甲技術について米国がドイツに接近しDU装甲技術がドイツに提供されるのを防ぐと共に、新型装甲を共同開発し新たに米国とのAFV技術協力に関するMOUを締結することで、進歩していく米独との技術水準を維持する思惑が有った ※3 それでも何故装備しないのかというのは何故付加装甲を装備しないのかと同義
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