片山組事件が原職復帰の原則に対する例外になると思う方は、判決文全文を読んでないであろう講師の伝聞で疑問を持つのではなく、まず片山組事件の判決文を全文、自分で読んでみましょう。 まず、復職時に配置換えを「検討する」ことと、「実行する」ことは別問題です。検討した結果、実施できないというのが文字通りの対応なんだろうと思いますし、どちらかというと現実にありがちなように、医師意見等に基づいて本当にできるかどうかを検討したものの、具体的に他部署に打診してどこからも受け入れがないというようなことではなく、もとより、原職復帰の原則からは認められないが、認めるに足る例外的理由があるかどうかという検討の仕方は必要なのだろうと考えています。 なお、勤怠不良や業務遂行不十分となっている不調者を一律的に休業するようにしているのではなく、あくまでも本人が就業規則を遵守して、完全な労務提供ができるというのであれば、復職はさせたうえで、それらの事象に対しては、懲戒事由に該当することをあらかじめ伝えたうえで(家族同席で)、実際に勤怠不良や業務遂行不十分があれば、再度、ご家族同席で伝える、ということを推奨しているのであって、やみくもに休ませるように言っているわけではありません。もっとも、ここで、本人が「債務の本旨に沿った完全な労務提供ができる」というのであれば、職務を限定しない労働契約である以上、原職でも就業できるということを言っているのと同義であり、結果的必然的に、異動を伴うような復職を実行する必要はどこにもなくなるわけです。 どちらかというと論理的に、本人側が破綻している状態に対して、裁判例があるからという理由で、会社側が原職復帰の原則を放棄してしまうと、一緒になって論理的に破綻してしまうといってもいいのかもしれません。 最後にまとめますが、原職復帰の原則を貫くほうが論理一貫しているのであって、原職復帰の原則から外れると思う、その考え方のどこに論理破綻があるか、自らよく検討してみるといいでしょう。
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