
これまた面白い質問。簡潔に方針を示すと、分子を回転させて慣性モーメントを求めることで結合距離を求めます。 もうちょっとちゃんと言うと、分子に光を当てることで分子を回転させるんですが、このとき(いくつかの)特定の振動数の光のみを吸収することで回転が激しくなります。このとき吸収する光の振動数はとびとびの値をとるわけですが、このとびとびの値の差はすべて"2B"なる特定の値をとることが観測されます。このBを回転定数と言い、Bは慣性モーメント I の関数で表せることが理論から分かります。古典力学によると I は質量と回転中心からの距離で求まりますが、原子の質量は既知なので回転中心からの距離が分かり、これをうまいこと使うと結合距離が得られます。 ただし上記の方法(マイクロ波分光法)は、分子が極性を持たないと使えないという制限があります。水素分子のような無極性分子ではこれとはすこし違う、回転の激しさに応じて分子が散乱する光の振動数が異なるという現象を観察する方法をとります(回転ラマン分光法)。この場合も観測から得られる値はやはり回転定数Bなので、慣性モーメントを経由して結合長を決定する点は同じです。 まとめると、分子に光を当てて回転させて、その時の吸光や散乱を調べることで回転定数Bを得る。Bは慣性モーメントIの、ひいては重心からの距離の関数なので、結合距離が計算で求まる、という方針です。 これらの方法は気体状の原子の結合距離の測定に使われます。固体の結合距離になるともう少し簡単になって、X線を当てて回折を見たりすることで結合距離が分かります。 以上です。とても勉強になりました。素敵な質問をありがとうございます♪ (詳細は『アトキンス物理化学』などに載っています)
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