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跳腰と内股の違いを教えて下さい。

これに関しては結構長文になってしまいます。もともとの形は跳腰が腰技、内股が足技に分類されているとおり、原理や形も全く違う技です。跳腰は自分の腰を深く差し入れ、相手を腰に乗せた上で相手の遠い方の足(右相四つなら右足)の内側を跳ねて(厳密には腰に乗せた時点で相手は浮いているために足は補助的に働く)投げる技です。一方、本来の内股は相手を腰には載せず、自らの作用足(跳ね足)で相手の近い方の足(右相四つなら左足)を跳ね上げて(あるいはリフトして)投げます(投げの形の内股をイメージしてもらえるとわかりやすいと思います)。以上から分かるとおり、最大の違いは「跳ね上げる相手の足が左右どちらか」です。現在の柔道では理屈ではなく形で技名を判断することが主流なので、技名決定はこの一点だけで行われていると思っていただいて間違いないです。とはいえ、本質的には腰に乗せるかどうかという理屈の部分が重要です。 と、教科書的な説明は上記のとおりになります。とはいえ、これではまだ不十分なのでもう少し続きます。現在の競技柔道において跳腰は国内外問わず公式記録でも実際の試合でもほとんど見られることはありません。これは他の技術が跳腰の領域を侵食したことが最大の理由です。ここまで読んでこられた方の多くは「内股も腰に乗せるじゃん」と思われているはずです。これは実際にそのとおりで、内股の技法が多様化した結果、現在では腰に乗せて跳ね上げる形が主流となっています。こうなると、同じ相手の股中を跳ねる技である跳腰と内股の理屈的差である「腰に乗せる」という点が曖昧になってしまいます。とはいえ、これはあくまでも跳腰と内股の分類が理屈ではなく形によるものに頼らざるを得ないことの理由でしかないと考えています(厳密にはそれでも跳腰と内股は腰に乗せる位置が違うため、理屈も違います)。 ここから先は完全に個人的な見解なのですが、跳腰を実戦から排除したのは内股ではなく釣込腰と払腰だと思っています。実際にやってみるとわかりやすいですが、跳腰を仕掛けられる形からは釣込腰、払腰も同様に仕掛けることができます。上の方で跳腰の足は補助的と書きましたが、そもそも上体が完成して相手が腰に乗った時点で払腰か釣込腰で投げてしまったほうが手っ取り早いのです。ちなみに払腰も返されるリスクの高さや腰を深く入れることの難しさから、現在では足車との中間のような、腰を浅くしか入れない形が主流です。 長文になってしまいましたが、以上が内股と跳腰の違いと、跳腰が最近見られない理由に対する私の見解です。ちなみに跳腰自体が使われなくなっても、その理合は非常に優れたものであるため、内股のバリエーションの中に吸収されて柔道競技の中心部で活躍しています。その証拠に、腰に乗せる内股の投げ込みは、完全に跳腰になっていたりします。余談でした。

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