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硫黄の酸化物って、最外殻電子の数と共有結合を考えたら一酸化硫黄がいちばん安定してそうなのに、どうして配意結合(でしたっけ?)しないとできない二酸化硫黄の方が出てくるのですか?

配「位」結合ですね。SがOに孤立電子対を供給する形で配位が成されている、とするモデルが現在は有力です。つまり O::S:O で Sに+1、右のOに-1の電荷が乗っています(孤立電子対を省略してますが、左Oに2、Sに1、Oに3だけ孤立電子対があります)。このモデルにおいて、最外殻電子数や共有結合の規則を破っていないことに注意してください。つまりSOとSO2のどちらが安定な分子かという疑問について、それらの条件のみ考えても差はつきません。 で、何がSOとSO2の安定性に差をつけているのかというと、共鳴安定化の効果でしょう。上のモデルでは、SO2は左側のO=S結合と右側のS-O結合が区別されていますが、実際は両方の結合が入れ替わるような(O=S-OとO-S=Oを行き来するような)モデルを立てることが出来ます。結合が切り替わるのはあくまでモデルによる方便なのですが、実際には左右どちらのSO結合も等価な1.5結合ともいえるようなものになっています。二重結合と単結合が行き来するモデルで、実際は1.5結合とも言えるようなもので、それが安定化に寄与している……これは有機化学で扱うベンゼンと同じ描像と原理です。 これを聞くと「だったらO2よりO3の方が安定なんじゃないのか、でも実際はO2の方が安定だろうどうなってるんだ」という疑問が挙がります。この理由はO=O結合の安定性とO3の不安定性によります。O2の結合がSOの結合より安定ということですが、これはO原子同士の電子雲の重なりがS原子O原子間の電子雲の重なりより大きいためです。またO3の不安定性ですが、これはO原子の電気陰性度が大きすぎることが由来と言えます。イメージ的には、O3を構成する各原子が誰も電子を譲ろうとしないので原子間の結合に使える電子が少なく不安定化する…といったところでしょうか。「電気陰性度が大きい原子はたとえ2点以上で結合が作れても同種の原子同士で長い分子を作りづらい」ということが知られています(逆に同種の原子同士で長い結合を続けることを「カテネーション」といいます。カテネーションできる元素の代表例は炭素や硫黄です)。 ということで、分子の安定性は様々な要因の合わせ技で決まります。物質の世界は複雑です。

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