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濾過滅菌フィルタの完全性"試験"は製造部門に委託しても良いものなのでしょうか。初学者でして、おかしな質問でしたら申し訳ありません。

「濾過滅菌フィルターの完全性試験は、製造部門に委託してもいいものなのでしょうか?」という質問ですが、“試験”だから、QC・品質管理が行うもの というのは短絡的な見方になります。 まず、フィルターの完全性試験の位置づけですが、製造販売承認申請書の製造方法欄の工程の中で記載されている場合がほとんどだと思います。 工程中の記載の例 <第〇工程>無菌ろ過 第▲工程で調製した薬液を孔径0.22μmの酢酸セルロース製カートリッジフィルターを用いて無菌ろ過を行う.【工程管理X】 【工程管理X】フィルター完全性:フィルター完全性試験機を用いてフォワードフロー試験を行うとき,”25kPa以下” というような記載です。 (「改正薬事法に基づく医薬品等の製造販売承認申請書記載事項に関する指針について」(H17.2.10 薬食審査発第0210001号)の承認申請書記載例 凍結乾燥製注射剤より、抜粋) https://www.pmda.go.jp/files/000160084.pdf すなわち、フィルターの完全性試験については、工程管理の位置づけです。 工程管理値については、GMP通知でも第10条(製造管理)関係で、指図しろとなっていますし、適合しなかった場合の結果と措置の記録を求めています。また、PIC/S-GMPでも、第5章製造の5.43で必要な工程内管理(in-process controls)を実施し、記録すること。 となっています。 すなわち、製造が責任を持つというのが、一般的な解釈になります。 よって、「製造に委託する」(製造が受託する)というのは、正しくないと考えられます。 あくまでも、製造の責任で判定しなければいけないということになります。 では、実際の試験行為を行うのはどうか?ということになりますが、 製造が自ら行ってもいいし、他部門(品質管理)に試験をしてもらってもいい と思います。 その前提としては、製品標準書やSOPに試験する部署などその旨が記載されており、その技術・能力を持ち、適正に教育訓練を受け、実効性が確保されている場合となります。 フィルターの完全性試験ですが、特に使用後は大量のフィルターの通水洗浄などを行う必要があり、また、できればラインに設置した状態、少なくとも、ハウジングに収まったままの状態で完全性試験を行うことが必要になりますので、製造のエリア、範疇で行うことが合理的で、信頼性が高いと思います。 手動で完全性試験を行う(エアーポンプと圧力メーターで人が読む)ことでないかぎり、昨今の完全性試験機の精度や信頼性は高いので、適正に教育訓練を受けた、適正使用している場合、試験の結果・信頼性は確保できると思います。 (品質管理が行うことを否定するものではありませんが、製造エリアへの立ち入りが発生したり、ライン組付けのまま試験するものがあったり、使用前後の製造の作業のタイミングにあわせて完全性試験を行わなければいけない などの条件を考えると、現実的ではないと思います。 結論として、「工程管理としてのフィルターの完全性試験の責任は製造部門にある。製造部門でフィルターの完全性試験を行うことに合理性はある。」と考えます。

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