
OOSは、Out-of-Specification で、規格の外側(逸脱)の結果が得られたことを言います。 OOTは、Out-of-Trend で、(ロットごとの)結果が規格の内側だけれど、通常と違う傾向の結果が得られたことを言います。 出荷判定については、調査結果によりますが(その結果が正しかったとすると)、OOSは「出荷不可」、OOTは「出荷可」と判断される場合が大半になるのではないかと思います。 詳細を以下に書きます。 OOSは、出荷判定を行う規格の外側なので、当該ロットの製品の出荷については、そのOOSの結果を否定できない限り、試験結果「不適」、「不合格」となり、出荷可能という判断になりません。 そのために、OOS結果が適正な結果なのか、(QCでの)初期調査が行われます。初期調査では、ラボエラーや検体取り違いなどを評価します。 その結果で、ラボエラーであることが否定できない場合は、製造の状況などを調査するフルスケール調査を行うことになります。 それらの調査結果を総合的に見て、OOSの結果が確定すれば、製品措置を判断(基本的にロットアウトになるでしょう)することになります。 それと、同時並行で、なぜ、OOSが起こったのか(根本原因)、再発防止のための是正措置(CA)を行う必要があります。必要に応じて予防措置(PA)も行うになります。 また、調査結果や状況に応じて、他のロットや、同じ製造設備を使用した製品や同じ原材料を使用した製品も、調査し、その結果を評価する場合もあるでしょう。 GMP通知(逐条解説)では、OOSが継続して発生する場合は、製品品質照査を要求しています。私個人としては、バリデーションも考慮すべきと考えています。 ここで、GMP省令と通知のOOS該当部分を確認してください。 GMP省令 (品質管理) 第十一条 第1項 第八号 GMP通知 15.第11条(品質管理)関係 ⑧第11条第1項第8号関係 一方、OOTは、というと、規格の内側なので、基本的には、「適」「合格」、出荷判定に供する流れになります。 調査結果により、ひっくり返る可能性も無きにしもあらずと思いますが、「出荷可」の判定となる場合がほとんどだと思います。 (ただ、昨今 製品リスクを重視する流れがあるので、OOTはリスクなるので出荷しない という判断が行われることもあるかと思います。) 傾向が違っているということは、何らかの事象が発生していることは間違いありません。 よって、OOS同様に、調査されることが強く望まれています。 流れとしては、OOSと同様に、ラボでの調査、製造側の調査ということになります。 私個人の感想としては、試験のバラつきもあり、なかなか、ラボで原因にたどり着くのは難しい場合が多いと思いますが、単にバラつきということで収めるのではなく、OOTこそ、製造側の調査が重要だと思っています。明らかな変更(変更管理で残っているようなもの)がある場合は、関連付けて調査や原因究明、措置ができやすいのですが、設備の部品交換や、調整、作業員の配置、原料のロット替わりなど見えにくい変更(?)の部分がそのリスクの要因(遠因)になっている可能性もあるからです。OOTの対応は、予防措置と一緒で、未来の起こるかもしれない、逸脱や以上、OOSなどの警告であったり、未然に防ぐ大切な手段になるからだと思っているからです。 また、OOTの調査、評価、対応では、出荷判定で出荷可とした場合でも、安定性モニタリングの対象にするか、どうかについても、考慮することが望ましいと考えます。 これら、OOSやOOTについては、 FDAのガイダンス(Investigating Out-of-Specification (OOS) Test Results for Pharmaceutical Production , October 2006) https://www.fda.gov/media/71001/download MHRAのガイダンス(Out of Specification & Out of Trend Investigations , October 2017) https://view.officeapps.live.com/op/view.aspx?src=https%3A%2F%2Fassets.publishing.service.gov.uk%2Fgovernment%2Fuploads%2Fsystem%2Fuploads%2Fattachment_data%2Ffile%2F678256%2FMHRA_OOS_OOT_Oct17.pptx&wdOrigin=BROWSELINK (ダイレクトにパワーポイントになるので、その前のページであれば、https://www.gov.uk/government/publications/out-of-specification-investigations になります。) 参考にされるといいと思います。 なお、OOS、OOTについては、出荷のための製品試験や、原料等の受け入れ試験のみならず、安定性モニタリングでの試験結果についても、同様に適用されるので、手順書等の適用範囲に明記しておくことがいいかと思います。
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