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大学で照明を学んでいます。卒業後はそのまま舞台照明の仕事をしたい、将来的に照明デザイナーになりたいと考えているのですが、そこまでの道筋が具体的に想像ができていません。宜しければ久松さんの新人の頃からの過程をお伺いしたいです。

こんにちは。 舞台ではいきなり「照明デザイナー」としての求人がないから、どうやってたどり着いたらいいのか悩みますよね。私も全く同じだったのでお気持ちがよく分かります。 私の場合は照明のアルバイトを始めた頃から大学の演劇部やダンスクラブの照明のデザインを趣味のような形で担っていて、そのうち市内の小劇場に出入りしてアマチュア劇団さんの照明デザインもお願いされるようになりました。 卒業後は照明会社に就職しましたが、劇団さんとの付き合いも続いて、年に数度はそういった伝手からのデザインの依頼も細々と(会社を通してもらって)受けつつ、会社の管理劇場での公演のデザインをして場数を踏みました。カラオケ大会やダンスの発表会、アイドルの小さいコンサート等、なんでもありました。 もう少し規模の大きい公演だとデザインは先輩社員が担当することが多かったですが、そういった演目の打ち込みやオペレートを担当したのがとても勉強になったと思っています。 そうやって少しづつ担当する現場の規模が大きくなった頃に、デザインしたお芝居の照明が協会賞を受賞しました。それがきっかけとなって、会社を辞めて独立しました。 独立してからは、また似たようなことですがもう少しシビアなお芝居や舞踊のプロダクションのチーフオペレーターを依頼されることが増えて、同時に海外招聘演目の受け入れを担当する機会も多くいただいて、国内だけでなく海外からのデザイナーの仕事を見る機会に巡りあいました。 そういった演目にチーフオペレーターとして携わっていると、知り合ったデザイナーから「この公演はスケジュールが合わないから代わりに担当してくれない?」みたいなことや、カンパニーから「これまでお願いしていた方の都合がつかなくなって、デザインをお願いできませんか?」みたいなことが少しづつ増えて、あとは一つ仕事が終わったらそこから次の仕事に繋がり…といった流れでした。 これまでを振り返ると 1. 人の繋がり 沢山の現場に色んな立場で携わって、知り合いが増えていくと次の機会に繋がっていきます。 2. 信念 私は本当に照明のデザインが好きで、若手の頃からデザイナーになることしか頭にありませんでした。そして『私は自分にしかできない素晴らしい照明をデザインする人間になっていくんだ』と愚直に信じ続けています。その、潜在意識に刻み込まれた思いの強さが自分を動かして、必要な判断を下しているように感じています。 ひとことで照明デザインといっても、芝居なのかミュージカルなのかコンサートなのか…ジャンルによって道筋は大きく違うと思います。私の場合は少し違ったけれど、王道はその領域の大手会社に入って下積みから経験を積んで、ピン、卓、デザイン…と少しづつステップアップするパターンだと思います。 飛び込んでみたら意外と大きな流れに流されて、たどり着くべき所に到着するようにも思います。 ひとつだけ気をつけて下さい。自分を大事にして仕事と向き合って下さい。言われるままにボロボロになるまで追い込んで追い込んで仕事をして、数年で心が折れてしまった人たちを沢山見ました。長年の経験が必要な仕事です。嫌にならないためにも、仕事と自分の人生の良いバランスを探っていって下さい。頑張ってくださいね。

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