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サイゼリヤのランチスープにはなにを足しますか?
そのままだとメインと合わせたときに少し塩味が足りなく、醤油だと発酵臭が気になってしまうのでいっそのことコースのスープとして割り切ってそのまま最初に一杯だけ頂くかたちをとってしまいます…

サイゼのランチスープ 液状の食物は、おおまかに「スープ」と「ビバレッジ」に分けられると思います。 前者は、コンソメスープとかポタージュとか味噌汁とかトムヤムクンとかラーメンの汁とか蕎麦つゆを蕎麦湯で割ったやつとか。 後者はお茶を始めジュースとかワインとかビールとかチューハイとかカクテルとかコーラとかコーヒーとか。 普通はこの2種の分類でカタが付くのですが、実はこの2種の間にどちらとも言えない液体があります。僕がそのことに気付いたのはインド料理がきっかけでした。 例えば(あくまでクラシックな)ラッサムは、このどちらとも言えない何かです。エリックサウスも含め近代的なレストランのラッサムは極めてスープ的な飲み物ですが、本来のラッサムは言わば「タマリンド胡椒水」でありスープとして認識し難いナニカです。(これを体験したい方は南インド料理界のレジェンド沼尻さんのラッサムをぜひ一度。) インド料理においては他に、ジャルジーラやソルトラッシーやモールなんかもこの「スープともビバレッジともどちらともつかない飲み物」です。パニプリについてくる不思議な液体もその仲間です。 日本人にとってはそれらのおいしさはなかなか理解困難なものかもしれませんが、実は日本の食文化こそある意味このカテゴリーの宝庫かもしれません。どういうことか。 煎茶や日本酒は紛れもないビバレッジであるはずですが、冷静に味わうと実は限りなくスープ寄りの飲み物なのです。これらをビバレッジ側からスープ側に引き寄せているのは「うま味」です。 ほとんど知られていない日本の飲み物に「味噌湯」というものがあります。八丁味噌をお湯で溶いた物です。これは限りなくお茶に近い味噌汁と言えます。 僕はこういった一連の「スープでもなければビバレッジでもないおいしい液体」をとりあえず「謎汁」と呼んでいます。 (ただしつい先日、親友でもある某変態芸術家の男に、「謎汁」という呼称はいかがなものかと意見され、なるほどと思い現在もっと良い呼称を模索中です。しかしそれはともあれ、) 謎汁という概念を理解すると、液体を味わう場面におけるシアワセの幅は飛躍的に広がります。 この事について語り始めるとキリがないのでそろそろ結論に進むと、サイゼリヤのランチスープとはまさにこの「謎汁」です。 僕はかつてサイゼリヤのランチスープを「謎汁」から「スープ」に引き寄せるために、オリーブオイルを垂らし、グランモラビアを振り、黒胡椒をガリリと挽いたものでした。 質問者さんにはまずはこのアレンジを推奨します。醤油を垂らすより良い結果が得られるはずだからです。 しかし、ここであえてそうではないソリューションを提示しておきます。「サイゼリヤのランチスープは、スープとしてではなくあくまで『謎汁』として楽しんではどうか」という提言です。 現代の外食産業において、おいしいスープはいくらでもあります。おいしいビバレッジはさらに無限にあります。しかしおいしい謎汁は極めて貴重です。 つまり、サイゼリヤのランチスープは、あえて何のアレンジも施さずそのまま楽しむのがおすすめということなのです。

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