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カレーにターメリックって必要なんでしょうか?色付けのためだけに入れるのであれば別に要らないのでは?と思いながら毎回カレーを作っています。

少し違う起点から考えてみます。 もしも「スパイスを1種類だけ使ってカレーを作れ」と言われたら、まずは「無理です」と答えます。 しかしそこで「そこをなんとか!」と懇願されれば、その一種類としてはチリを選ぶと思います。 そしてさらにもしそこで「もう一種類使っていいよ」と特別許可が出れば悩みます。悩んだ末、逆に僕から質問を返します。 「あなたが求めているものはあくまで『カレーとしてのインドカレー』ですか? それとも『インド料理の一部としてのカレー』ですか?」 前者であれば、2つ目のスパイスとしてクミンを選ぶと思います。更にもうひとつ選ぶならカルダモン、次にブラックペッパー。なぜならその「カレー」のイメージの中心には「チキンカレー」があるに違いないと推測するからです。そしてクローブやシナモン、フェヌグリーク、その後ようやくコリアンダーかターメリックで迷う……。 ターメリックはだいぶ後になるってことです。質問者さんの感覚はまさにこれなのではないでしょうか。 しかしインド料理としてのカレーの中心にあるのは少なくともチキンカレーではありません。強いていうならダールです。であれば2番目に選ぶのはターメリックになるでしょう。いやむしろそれはチリより優先されるかもしれません。同時にクミンも悩みます。逆にチリ、クミン、ターメリックが揃えばもう十分です。「もうひとつ選んでいいよ」と言われても「いやもう結構」とお断りするでしょう。 ダール以外にも「インド料理としてのカレーの中心」にはさまざまな野菜料理があり、その多くがこの3つで成立します。逆に言うとそこからターメリックを外すのは大きな損失です。まだクミンを封じられる方がマシです。そういう意味でインド料理のカレーにはターメリックが不可欠、と言っても言いすぎではないと思います。 大方の日本人にとって「インドカレー」は「カレーライス」の延長線上にあります。基本的にはノンベジカレーであり、もしくはそれがベジであっても「肉の代わりに野菜が置き換えられたもの」です。だからターメリックはさほど重要に感じられません。色味の問題は無視しきれない部分もあるものの、その「カレー」にはたいてい何かしらの形でトマトも入るので、その問題はある程度補完されます。 しかしインド料理における「カレー」は、チリとターメリックによる極めてシンプルな世界の延長上なので、そこには必要か必要でないかの審議がなされることはまず無さそうです。ターメリックは簡単に大量に栽培できて安いのでわざわざ審議されることもないとも言えるのかもしれません。科学的かどうかはともかく健康上も必要とされています。外す理由が無いってことなんですね。 インド料理としてのカレーの中にもターメリックが入らないものは実はちらほらあります。しかし今その話にまで言及すると混乱を招きそうなので今回は自重しておきますね笑 ただひとつ確実に言えるのは、いろんな食材やスパイスをふんだんに使えれば使えるほど、確かにターメリックの必要性はどんどん後退していくのかもしれません。そして現にわれわれは今、いろんな食材やスパイスを好きなだけふんだんに使えます。 しかしインドのほとんどの地域のほとんどの歴史の中でそんな事は稀でした。そこに思いを馳せるなら、我々もやっぱりターメリックを手放すべきではないのでしょうね。

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