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小6男子、今年度から本格的にセッターを始めました。
トスの高さは少し出てきましたが、割れます。
ボールの下に入る、体を上げる方に向ける練習をしたいのですが、家ではどんな練習ができますか?
このふたつは分けて練習するか、一連の動きとしてやるかどちらの方がいいのでしょうか。
あまり機敏なタイプではなく、頭では分かっているができないのがもどかしいようです。

・ボールの下に入る ・体を上げる方向に向ける の2つを身につけさせたいということですね? 目的は、トスが割れるので「方向を正確にコントロールできるようになる」ということでよろしいでしょうか? 「方向のコントロール」に必要なことは、 ①適切な位置でとらえる ②しっかり目標にボールを飛ばせる体勢を取る ですが、この2つを分けて練習する方がいいのか、1つのこととして練習する方がいいのか?については、「これは2つに分けることはできない」というのが答になります。 それはひとまず置いておいて、 ①が「ボールの下に入る」ということのようですが、「ボールの下」とはどこでしょうか?「ボールの中心の真下に体の重心がある」ようにすればいいのでしょうか?その状態にあるということがやっている本人に分かるのでしょうか? また、普通のオーバーパスは「体をやや前傾させて、ボールをオデコの前でとらえる」ものだと思いますが、この状態は「ボールの中心の真下に体の重心がある」とはかなり違います。 それでも「ボールの下に入る」ということをプレイヤーに求めるべきなのでしょうか? 次に「体を上げる方向に向ける」についてですが、ボールが飛ぶ方向は体の向きだけで正確にコントロールできるものではなく、腕の使い方によって決まります。 ボールが飛ぶ方向は、次の動画(【フォーラム】セットのバイオメカニクス(後編)https://www.youtube.com/watch?v=T3NwbVVT3HA&list=PL6ZBCOamtPBGRVd8VjLHteGBy5bD5pCNg&index=16)で説明されているように、「体の中心→ボール」を結ぶ線の方向になりますので、「ボールをとらえる位置」によって正確なコントロールができるということになります。 つまり、体の向きよりも「体の中心と目標を結んだ線上でボールをとらえる」ことが重要で、後はボールに向かって真っ直ぐ腕を伸ばして力を伝えれば、ボールは目標に向かって飛ぶことになります。 「体を上げる方向に向ける」のは、その方が「体の中心と目標を結んだ線上でボールをとらえる」ことがやりやすいかもしれないので、余裕があればそうしてもいいのですが、重要ではありません。 むしろ、目標とボールを結んだ線の後ろに回り込まなければならないために時間がかかり、また、体の向きを変えながらボールをとらえるためにとらえる位置が曖昧になるという大きなデメリットがあります。 そもそもセッターは、レフト方向を向いてクイックにもライトにもバックアタックにも上げられるようになる必要があり、「上げる方向に体の正面(または背中)を向ける」のは不可能になります。そのための基本となる感覚「体の中心と目標を結んだ線上でボールをとらえる」を最初から身につけるべきではないでしょうか? 練習としては、「どこでボールをとらえればどの方向に飛ぶか」をつかむために、徹底的に試行錯誤を繰り返すことですね。動画の「天使の輪」を体で理解するということですが、これは家でも4畳半くらいのスペースがあればできるかもしれませんね。 次にシンプルな練習としては、ネットから離れた位置から「レフトに正対してレフトに上げる・レフトに正対したままライトに上げる・ライトに背を正対させてライトに上げる・ライトに背を正対させたままレフトに上げる」というのをやります。原則として「遠い方に正対して、近い方へサイドセット」で行います。 重要なのは、「ボールの落下点に移動していくときに、『上げたいところにボールを飛ばすにはどこでとらえるべきか』を見切って、その位置に体を止める」ということです。どこに上げたいか、そのためには体をどこに持って行けばいいかをイメージしながら移動するわけです。その「イメージ」には「②しっかり目標にボールを飛ばせる体勢」つまり、「しっかり足場を安定させて体を止める」ということも含まれます。なので、①と②は分けることができないのです。 「間に合わない(自分がとらえたい位置まで体を持って行けない)」と判断したときは、アンダーやワンハンドに切り替えることも重要です。 「間に合う」というイメージができてくると、自分の限界のスピードで動こうとするようになるし、よりロスの少ない止まり方を探せるようになります。「機敏でない」と言われる選手は「自分が間に合っている状態」を知らないことが多く、それを知ってもらう練習をすると、限界のスピードで動いてくれるようになることがほとんどです。 ここまで、実は「サイドセット」を前提に書いてきましたが、指導者がそれを許さず「体を上げる方向に向けろ」と言われるかもしれませんね。その場合も「ボールに対してどんな位置で、どんな体勢を取れば、上げたいところに上げれそうか」をイメージして、その体勢になれるように体を止めることはできると思います。 やってはいけないことは 「ボールの下に入る」→「目標に向けて体勢を整える」→「目標をしっかり見る」→「トス」 というふうに何ステップも掛けてしまうことです。いくら時間があっても足りませんね。 しっかりイメージを作って、ワンモーションでその体勢へいけるようにしてください。 こちらも参考にしてください。 note「セッターのバックセットが割れます」 https://note.com/taknuno55/n/n399eee50d9c5 なお、「サイドセット」については日本バレーボール協会から出ている「コーチングバレーボール」のp143「セットの動作原理」とp150「セッティングの練習方法」に基本として書かれています。

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