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現物債券買うなら債券先物買ったほうが経済効果同じでコストは安いと思うんですが、何か罠があるんでしょうか?特に米債ならヘッジコストが現物なら100%必要なのに対して先物なら証拠金分だけで有利に思えるのですが。

「経済効果が同じ」というのがミソで、原則そういうものはarbitrageの対象です。 後者について言えば、10の資金で100の米債を買うのが先物とすると、explicitなヘッジは証拠金分の10でいいのは確かですが、差分の90はドルを調達しているのと同じです。なので別に得にはなりません。(ここでは為替のベーシスを0としてます。大体円のベーシスはマイナスなのでベーシス分に限れば節約効果があります。) 具体的にやりましょうか。 現物だとヘッジ米債の利回りは A:米債利回り-(ドル調達コスト:ドル短期金利+円運用金利:円短期金利)です。()内が俗に言うヘッジコストです。 さて、米債先物は先物の利回りに相当するイメージは (米債利回り-ドル調達コスト:ドル短期金利) になります。無リスク金利で借りてそれを債券に突っ込むイメージですね。なのでそもそも現物よりも利回りは下がります。 ところで米債先物にはドルで証拠金を入れますね。仮に想定元本の1/10必要でこれには金利がつくとしましょう。残りの9/10は円で持っておくとしますね。 さて、証拠金は円ヘッジしなきゃいけないとすると、証拠金の利回りは (ドル運用金利-ドル調達金利+円運用金利)×0.1で、円運用金利×0.1です。 9/10の余りに対応する利回りは円運用金利×0.9です。 米債先物部分と合わせて (米債利回り-ドル調達金利)+円運用金利なので、これは()の位置が違うだけでAの現物債ヘッジと一致します。 もちろん、レバレッジがかけられる(ここでは想定元本は同等の想定)ことを考えれば資金効率は良くなることもあります。 またヘッジ戦略もベーシスを勘案すれば有利なこともあります。一方でロールコストを考えると現物が有利になることもあろうかとは思います。 色々簡単にはいかないもんです。

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