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リアリティに関しては、「乳首が服の上から浮き出る」のはどう考えますか?

水着ならともかく、ブラ着けてるならさすがに服の上からは100%ないわ、と不満に思う意見は聞きます。私もそう思います。

「絵(イラスト)とは、リアルを描いたもので、徹頭徹尾リアルに忠実でなければいけない」という古くさい誤った考えから脱却していただきたい。あなたは表現規制論者やツイフェミと同じ陣営にいる。絵を理解していない。 あなたにはマニエリスムという言葉を覚えていただきたい。16世紀、正確な数字や比に基づいて人体を描いた古典主義の次に、マニエリスムというものが生まれた。マニエリスムは、正確さよりも表現へとベクトルを振ったものだった。たとえば、ピッチャーがボールを投げる時、腕がしなる感じという表現がある。リアル&厳密にいうと、腕がしなることはない。腕がカーブ(湾曲)することはない。したがって、リアル&正確に表現するなら、腕はしなった感じの絵にはならない。しかし、しなった感じを最大級に表現しようとした場合、リアルを知りながら敢えてリアルに対して背を向けて「カーブ(湾曲)した形の腕」を描いた方が、「しなっている感じ」は読者に伝わる。 マニエリスムの作品では、「リアル&厳密に言うと、この首の長さ、違うんだよね。長すぎるんだよね」というのがある。だが、事実に反して長く描かれたことによって、苦悶の姿がしっかり表現されている、ということがある。 リアルや厳密さよりも、表現を取るのが、マニエリスム。漫画やイラストは、マニエリスムの延長線上にある。 人間は、強調してものを覚える。この性質により、絵の世界では必ずしもリアルや厳密性だけが正義とはならない。 リアル&厳密に言うなら、ブラを装着しているから服の上から乳首が浮き出るということはないだろう。だが、敢えて乳首のエロさを表現したい、乳首のエロさを見せたいという表現の方を取った場合、敢えてリアルとは違うと知りながらリアルと違う表現をするということが、絵の世界にはある。まさにマニエリスム。世間で騒がれた乳袋にしても、マニエリスム的表現と言える。 マニエリスム的表現に対してリアルや厳密さを主張して批判するというのは、絵に対する批判者の見識のなさを示すということ。 絵に対しての見識がないにもかかわらず「自分にはそう見えるから」と言って、自分の印象こそ普遍的な正義と勘違いして批判する人が多すぎる。そしてこの、「自分の印象こそ普遍的な正義」と勘違いして「萌え絵はエロ」「女性差別」と批判して秋葉系をバッシングするのが、ツイフェミであったり表現規制論者であったりするという重要な事実を、忘れてはならない。絵に対して私評を口にするのなら、マニエリスムを覚えてからにしていただきたい。

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