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畑中さん、「絵柄が古い悩み」及び「漫画家としての自信の保ち方」を質問した者です。
まさか本当にご回答頂けると思わなくて、本当に感激して、どうしても感謝の気持ちをお伝えしたくて、この質問箱を利用させて頂きます。


「漠然とした指摘で、どうしたら良いかわからず不安を抱えている」
「アドバイスだと思っているのは、あなたの個性に対する否定の言葉であり、あなたはそれに傷ついている」
とおっしゃって下さり、初めて自分の気持ちに気付くことができました。

ずっと「絵柄が古い」と言われて落ち込んでいたのは、自分が絵の研究や練習量が足りない、努力不足を指摘されたことに対する落ち込みだと思い込んでいました。
しかし、絵柄の古さ以外の担当からの指摘は「よし、やるぞ」と思えたのに、なぜかこの指摘だけはずっと心に重くのしかかって、ここ最近では絵を描くこと自体が苦痛でたまりませんでした。(実際他社のネーム賞に応募したり、原作担当になろうか真剣に悩んでいました)


担当さんに相談しても流行りで売れている作品を模写してくださいと言われるだけ。でも模写練習も苦痛で全然改善されている気がしない。

そんな状態の中、畑中さんから何かお言葉を頂けたらと、すがるような思いで質問をお送りしました。
正直お送りした後は自分でも低レベルなことを聞いてしまったと後悔しました。
プロとしてやっていくには根性が足りない、プロである以上売れるように努力しなさい、新人が自信とかおこがましい…等々、小学館3誌の編集長の立場の方からしたら何を甘えて弱いことを言っているのかと、そんな風に思われたに決まっていると。


でも頂いたお言葉は、こんな匿名の新人にも優しく寄り添って下さって、自分でもわからなかった気持ちを丁寧に文章化して下さっていて、読みながら、そのお気持ちが本当に嬉しくて、ありがたくて、何度も何度も読み返しては泣いて、また漫画を、ちゃんと自分で作画までする漫画を描きたいと思えるようになりました。


気を使って下さって、担当の指摘を「悪口」とまで言って下さったことも本当に心が救われました。
アドバイスではないからこそ、そのことにショックを受けて落ち込むことは自分の弱さのせいだけじゃないと、自分を許すことができました。


また詳細な内容がない質問にも関わらず、自分と担当さんとの交流の希薄さ、話し合いのなさを言い当てられたことにとても驚きました。

担当について頂いて半年ですが、打ち合わせでお互いの好きな絵柄はもちろん、どんな作品が好きかなどのお話は一回もしたことがありません。
よく考えたら、初めての打ち合わせの第一声から「担当になりました、でもあなたの絵柄は古いのでデビューするにはそこを改善してください」と言われて、そのときから打ち合わせが苦痛になっており、なるべく短時間で終わるように実務的な会話に終始していました。


頂いたお言葉の最後、「具体的に目指したい絵のイメージを編集者と共有することができれば、おのずと必要なアドバイスだけをもらえます」と言って下さり、そもそもは自分と担当のコミュニケーションができていないことが原因だったんだなと教えて頂きました。
そして「自信を保つ方法」という質問は、畑中さんから頂いたお言葉を聞いた今なら、この先も嫌な事に無理して耐えるにはどうすれば良いですかと質問していたも同然だったと…。自分の悩みの本当の原因に気付けていなかったのだとようやく理解できました。


お礼にも関わらず、自分事を長く語ってしまい申し訳ありません。
感謝のお気持ちをお伝えしたかっただけなので、ご返信は無用です。
本当にありがとうございました。
今は漫画をたくさん描いていきたい気持ちに溢れ、また畑中さんのようなお考えを持つ編集長の下で、いつか漫画を描かせて頂きたいなと、現状分不相応ながらそのことを目標にこの先も腕を磨いていきたいと思います。

凄く嬉しいメッセージをありがとうございます。そして、こうして気持ちを語って下さることが、私以外の編集者にとっても大きな力というか、学びになるのでシェアさせてください。 自戒と反省を込めて…と先の質問箱に書きましたが、立場が違うとびっくりするぐらい視野が変わるというか…良かれと思ってやることが間違っちゃったりするんです。 作家さんからすると「なんで??」「ちょっと考えればわかるじゃん!!」って感じると思うんですけど、編集者は心の底から作家さんの役に立つ指摘だと勘違いして言っちゃたりするんですよ。 そういう時に考えを改めるきっかけになるのは、同僚編集者からの「作家さんはこう思うかも??」という想像から出る指摘より、やっぱり作家さんからの言葉だと思います。 あなたの担当は、あなたを作家として売り出したくて仕方ないんですよ。 つぶそうなんてこれっぽっちも思ってない。 だって、それは担当にとって損なことですから。 なのに、自分が良かれと思って発した言葉が、あなたの描く気持ちを削いでしまった。 多分、担当なりに気づいて、悩んでたんじゃないかな…。 あなたの担当だけの話じゃなくて、 「この人はきっと将来、凄い作家になる!!」って思って意気込んで担当した人が、みるみる輝きを失っていってしまって、どうしよう?どうしたら??って悩んでる編集者は他にも絶対いて。 だから、あなたがこうやって語ってくれたことで、 編集者目線で「絵で損しちゃってるな。そこが伸びしろだな」と感じた時に、自分の価値観で「絵が古い」とか言うより、まず作家さんの伸びたい方向を聞いて、知って、その方向に作家さんが伸びていけるにはどうしたらいいかを一緒に考える方が、作家さんを伸ばすことになるんだなーと実感できれば、今日からでももっといい仕事するようになると思います。 我々に、大事なことを教えてくださってありがとうございます。 こちらこそいつか、あなたのように眩しいほど真っ直ぐな気持ちを持ち合わせている作家さんに仕事相手として選んで頂けるように頑張っていきたいと思います。 いつかお目にかかれる日が来れば嬉しいです。

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