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慶應の憲法は何が正解筋でしたか?
集会の自由で書くのはまずかったでしょうか。

BEXA連載でも述べているとおり、【問題文で聞かれていることは何かを正確に把握するか】がまずは勝負の分かれ目です。そのうえで解説はしないと言いましたが、今回のみ特別に(以後は多忙+利害対立の関係からしない予定です)。なお法セミ連載の大学教授らによる司法試験解答速報と実際の出題者による解説とでも、解答がわれることもあるので、その旨理解ください、 まず私立大学に対する損害賠償請求(民法709条)ということで、昭和女子大学事件と類似してますね。まずは前提として憲法が適用されるのか、書く(私人間効力について、間接適用説など。当たり前のことですがロー入試では書いた方が無難ですし、それに司法試験のように「私人間効力については論じる必要はない」との指示もないことから、さらっとでも書くべきかと思います) そのうえで本件で原告はゼミ生Xらであって、侵害されるのは【政治学の教授Aの研究発表『ではない』】ことに注意が必要です。 そのうえでXの構成としては一般的には「研究発表の自由」として構成してくるでしょう。ここで本件は政治表現ではありますが、これですぐに研究発表の自由として保障されないとするのは早計です。大学の【政治学】のゼミの研究発表の延長線上のシンポジウムとして評価できないでしょうか。ポポロ事件では判旨において「実社会の政治的社会的活動にあたる行為~共有しない」と学内の政治活動は学問の自由の範囲外としているように読めますが、本件で「政治学の研究発表」として認められる場合にまでその射程が及ぶのかは懐疑的です。 話は戻し、上記のように説明すれば、同自由の侵害として構成することも可能です。 仮に上記自由で保障されないとした場合(または別の構成として)でも、本件は公開の集会という事情より集会の自由の侵害として構成することも可能です。具体的には、①本件では施設利用について大学側から不許可処分がされている事案であること・②600名入る教室でかつ学外の者も参加を予定+賛成反対中立的立場の者などが参加するシンポジウム等の事情から、公開の集会としての性質を有すると評価して、集会の自由の侵害として構成することも可能です。 (その際、上記で学問の自由としても検討したうえで認められないとしたうえで集会の自由を検討する答案とした場合には、学問発表ではなく「政治的な集会を自由にする権利を侵害された」という構成となるでしょう。) 個人的な考えですが…この事案は、”Xらは私立大学の敷地内の教室の利用を申請したが、B大学により不許可処分が下され、その結果シンポジウムの開催が不可能となった”というものです。大学には施設管理権もありますし、そもそも大学施設内の教室は一般使用を予定している場所とは言い難いと思います。つまり公民館などのように公の施設ではないですので、不許可処分について憲法上の権利を主張して争うにはかなりハードルが高いように思えます。

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