1/15

ハード・ブレグジットへの緊張感がいよいよ高まっているように感じます。これまではEECなどヨーロッパとの完全一体化という事に英国は憂慮してきたような印象があります。一端入ってしまったものから強行離脱するという選択をしたその先の英国はどうなってしまうのでしょうか。その展望やこうあってほしいという願望がありましたらお聞かせください。

かつてアチソン国務長官が言った「帝国無きイギリスは新しい役割を発見していない」の延長線上に今があるのだと思います。イギリスはこの半世紀自分探しをしていました。ある時は共産主義の脅威に立ち向かう米国の盟友、またある時は英連邦という名の同窓会で保護者を気取り、そして最終的に欧州連合という自治会の一員という居場所に辿り着きました。「欧州の中の英国」は居心地が良い場所とは言い難く、議会はブリュッセルの意向を淡々と法律にしていくだけ。それはそれは苦痛だったと思います。さりとてその居場所を捨てた所で行くところも無い。ブレグジット国民投票も離脱を目指す為のものではなく、「我らにはここしかない」という事を自分達に納得させたかったのだと思います。しかし、難民問題が可視化したデメリットはそれまで抱えていた不満や疑問を表出させました。ですが、その不満や疑問は究極的にはイギリスという国民国家は何にアイデンティティを求めるかに集約されると思います。現在のイギリスはかつての海洋大国だった頃の習性に従い、日米、英連邦諸国との連携を画策しています。ただ現時点では明確なビジョンに基づくものではないでしょう。4つのネーションを束ね続ける明確なアイデンティティ、ビジョンを示す事はこれからの課題と言えるのではないかと考えます。

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク