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こんにちは。軽度認知機能障害と診断されリコード法を始めましたが、アルツハイマーかレビーか診断がついていません。妄想の内容などからレビーかも...と言われました(来月結果が出ると思います)。
もしレビーだった場合、
①リコード法の効果はあるのでしょうか?
②レビーは36の穴とは別な原因からくるものなのですか?
よろしくお願いします。

まずリコード法の効果があるかという問いについてですが、レビー小体型認知症患者さんでリコード法を行われている方は一定数いらっしゃるようです。 ブレデセン博士らの報告によると改善は示しているとのことですが、ただ十分なデータがないと述べています。 その他、 「パーキンソン病とレビーはリコード法の区分でいう3型に類似する。」 「レビーは一般的に毒素と関連する。化学毒素、金属、生物毒素のすべてが可能性として考えられる。レビー小体型認知症は毒素のチェックが必須だ。」 「あるレビー患者は、セントラルヒーティングシステムの住宅に住んでおり、完全にカビに囲まれた環境の中に住んでいた。」 と言ったことを述べています。 レビー小体型認知症とアルツハイマー病における36の穴の共通点ですが、アルツハイマー病は知られているようにアミロイドβやタウが蓄積し神経細胞にダメージを与えることで引き起こされると想定されている神経変性障害です。 そして36の穴とは、もともとは遺伝子解析から導き出されたアミロイドβ産生またはアミロイドβ毒性に寄与する因子の数だったのですが、アミロイドβの解決だけでアルツハイマー病の代謝障害は構成されているわけではなく、実際にはアミロイドβと直接的には関与しない発症寄与因子も、ブレデセン博士らグループの調査により独自に追加されているように思いcます。 そのため、「36の屋根の穴」という言葉自体は若干比喩的に、多因子疾患であることを示す言葉として用いられていると理解しています。 一方で、レビーはαシヌクレインというタンパク質が脳内の神経細胞、非神経細胞の両方に凝集したものが蓄積することを特徴とする神経変性障害です。 αシヌクレインも生理学的な役割をもっており、正常に機能する限りはヒトに有益な作用をもたらすタンパク質であろうと考えれていますが、アミロイドβやタウほどではないにしても長く(30年)研究されている割にはその役割は良くわかっていません。 αシヌクレインは脊椎動物しかみられないことから、神経細胞やシナプス機能に直接関わる必須のタンパク質ではなく、ドーパミン、ミトコンドリア、分子シャペロンなどと関わる複数の機能をもつタンパク質ではないかと考えられています。 https://content.iospress.com/articles/journal-of-parkinsons-disease/jpd150642 最近の説のひとつには、αシヌクレインがDNAの修復に関わるのではないかというものがあります。 https://www.genengnews.com/news/newly-discovered-role-for-alpha-synuclein-could-point-to-new-approaches-against-parkinsons-disease/ そういったことから、レビー小体型認知症におけるαシヌクレインまたはその異常な蓄積(シヌクレイノパチー)はアミロイドβほどには基礎研究レベルで実態がわかっておらず、少なくともブレデセン博士が提示した36の穴のような寄与因子のリスト化はなされていません。 おそらくアルツハイマー病におけるアミロイドβほどには、疾患の発症に寄与する因子はないと思いますが、しかし、ひとつ言えることは多因子性であると考えることができる基礎研究の証拠は多数あり、また仮に多因子疾患ではなかったとしても、そのことは多因子を標的とした治療が有効ではないことを意味しません。 ただ、先程の述べたように具体的なリコード法の実行項目(特に3型プロトコル)の多くは、実質レビー小体型認知症に寄与または関連する因子、障害として研究されている標的と重複します。 重複部分を簡単に分けると、トリガーとしての毒素の解毒、異常タンパク質が与えるミトコンドリア、神経細胞障害の保護、異常タンパク質の修復、異常タンパク質の排出経路などがあると思います。 レビー小体型認知症について、網羅的に調べたわけではないので一例ですが、 ・腸内環境の問題 ・ミトコンドリア機能障害 ・プリオン増殖(金属が深く関与する)3型 ・オートファジー障害 ・グルタミン酸受容体の過剰活性 ・小胞体ストレス ・レム睡眠行動障害(3型) ・細胞内カルシウムの恒常性破綻 ・アセチルコリンの低下 https://alzhacker.com/lewy-body-treatment/ などが可能性としてあります。 基本的には、36の穴の多くと重複するため、どの部分を強調して行うかという違いに行くつくようには思います。 以下の標的も一例ですがリコード法の治療プロトコルの実行においては、明確には治療標的化してはいないと思います。 それぞれの因子は関連しあっていることが多いので、直接的には標的化していなくても改善効果をもたらす可能性はあります。 ・αシヌクレイン(シヌクレイノパチー)の蓄積 https://alzhacker.com/alpha-synuclein/ ・低い尿酸値 ・有毒化学物質ロテノン ・リソソーム障害 ・ドーパミン作動性ニューロンの障害 また、遺伝的なリスクの重複に関しては、関連研究があり、アルツハイマー病とレビーとではリスク遺伝子に強い関連があることが示されています。(特にApoE4遺伝子陽性のレビーと) (アルツハイマー病とパーキンソン病では遺伝的リスクはほとんど関連しません) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4759606/ 純粋なレビー小体、またはパーキンソン病患者でもApoE4陽性であることがあり、この場合はレビー病理の重症度関連するようです。 そして、たぶん、ここが重要なポイントだと思うのですが、ApoE4遺伝子が陽性であれば、多くの場合、レビーとアルツハイマー病の混合病変を示します。 https://alzhacker.com/lewy-body/#i-6 つまり純粋なレビーは仮にそう診断されたとしてもまれで、程度の差はあれどアミロイドβ病理が関わることがほとんどです。 アミロイドβ、タウ、αシヌクレインはそれぞれ相互作用するため、進行に伴って片方が一方を増幅させる可能性もあります。 そのことから、何をどの程度、どのように取り組むかという配分の問題は考慮しなければなりませんが、レビーと診断された方がアルツハイマー病(アミロイドβ)への対策は何もしなくても良い、という考えは多くの人で進行後に困難なリスクに面する可能性を生むように思います。

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