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なぜ分子結晶の時は分子式で
金属結晶、イオン結晶、共有結合結晶の時は組成式なんですか?よくわかりません

そもそも「組成式と分子式がそれぞれ何を表しているか」を把握していますでしょうか。分子式は分子を構成する原子の種類と個数を表しています。一方、組成式は物質を構成する原子の種類とその個数比を表しています。つまり、数か、比か、の違いがあります。 分子結晶は、原子数個からなる分子が規則的に配列してできています。ですので、分子を構成する原子について個数を表すことができます。しかし、その他の結晶は、分子を形成せず、同じ構造がドバーッっと繰り返されています。ですので、個数を表すことはないわけです。ですので、物質を表現するにあたって、比を示すことになります。 「あれ、比の方が情報量が少ないですよね? それで物質が表せるんですか?」と思われるかも知れません。その通りで、本当のことを言うと表しきれません。例えばイオン結晶に、閃亜鉛鉱というものとウルツ鉱というものがあるのですが、これらはいずれも組成式がZnSとなります。結晶の構造が異なっているので別のものとして扱われるのですが、構成するイオンとその比は同じなのです。 とはいえ、「でしたら、分子式で表すと誤解なく伝わるのですね?」に対する答えはNoです。有機化学はもう触れられたでしょうか。有機化合物によく、分子式は同じになるが異なる物質、というものが現れます。異性体といいます。結晶で議論の対象になりやすい、水、ドライアイス、ヨウ素などは、分子式が示されれば物質が特定できますが、異性体のようにそうでないものもあるのです。そういったものは、より情報量の多い、示性式や構造式を用いて表記します。なお酢酸の表記としてよく用いられるCH3COOHは示性式です。分子式だとC2H4O2ですが、炭素2個、水素4個、酸素2個からなる物質は他にもあるのです。 脱線が過ぎました。結晶の化学式で分子式を使うか組成式を使うかの違いが生じる理由は、分子は構成原子の個数が表せるが、それ以外のものは個数では表現ができないからです。

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