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人工呼吸器使用中の方が自宅に帰るので、在宅用の人工呼吸器に変更する場合、毎回うまくいかず難渋します。対話できる場合はどうにかするのですが、何かコツなどあれば教えてください<(_ _)>

質問ありがとうございます。 あくまでもご参考まで。 院内で使用している人工呼吸器から、在宅で使用する人工呼吸器へ変更が上手くいかないことは、よくあります。 ご本人から、息が苦しいと言われたり、 ファイティングが発生したり、SpO2値が低下したりします。 意思疎通が取れる場合でも、ご本人から違和感の訴えが無いにもかかわらずPaCO2が経時的に上昇したりするケースもあります。 私が機種変更等で注意している項目があります。 1.機器特徴の違い 2.設定の違い 3.環境の違い 4.これらの複合 順に簡単に解説します。 1.機器特徴の違い ①ハイスペックマシーンからの変更 院内で使用される上位機種はFiO2の細かい調整や最大吸気流速が早いです。在宅で使用される呼吸器はFiO2の設定はできません。 また、最大吸気流速も院内機器と比べて、遅い場合が ほとんどです。 自発呼吸が優位で、しっかりと吸える場合 吸気流速が遅い機種だと「吸いたりない」を訴える場合があります。 ②トリガーの仕組みの違い 院内呼吸器から在宅用呼吸器への機種変更で 一番気を付けているのが「トリガー」です。 フロートリガー/圧トリガーの他に某社のように予測式トリガーがあります。 院内呼吸器と同じメーカーで、在宅へ以降できる場合には トリガー問題が発生しにくいのですが・・・。 メーカー変更をする場合には、細心の注意が必要です。 2.設定の違い ①加温加湿器と人工鼻 院内では加湿器、在宅では人工鼻を使用されるケースもあるかと思います。 院内で、在宅と同じ環境を試して頂き、ご本人が違和感を感じないか 確認をお願いしています。 ②同じ「VC-SIMV」のはずなのに・・・。 機種が変わると「吸気流速」問題と同じく、トリガーウィンドウ問題が発生します。 呼吸器は、トリガーを「待機」する時間があり、この時間より遅延すると強制換気が発動します。この考え方は、原則として挿管下の呼吸器もNPPVも同じです。 同じメーカー同士で乗り換える場合でも、機種が違うと「トリガーウィンドウ」が違います。自発呼吸でトリガーエラーが発生する場合には、吸気トリガーの感度調整だけ同調しない場合には、色々な検討が必要になります。 もし、VC-SIMVでPSVを併用してる場合には、呼吸回数を減らして、PSVで同調するのか?ただし、拘束性肺疾患の場合、PSVでは吸気/呼気への切り替わりが早く、十分な換気量を得られない可能性があります。 A/Cの場合は、呼吸回数を減らして、同調する呼吸回数を探す必要があります。 このような様子をみる場合には、呼吸器のログデータの解析が重要です。 3.環境の違い ①気温(室温)と湿度 一般的にご自宅の環境の方が、日中の気温の寒暖差が大きいです。 ご自宅の方が、回路内の結露がしやすい環境にあります。 回路内結露によりホース内に水滴が貯留することで ミストリガーの原因となります。 ②ベッド環境 私が在宅医療に携わるまで、知らなかったトラブルの原因です。 枕が硬い/柔らかい・ベッドマットが硬い/柔らかいにより、 頭部前屈になり易い状況になります。 この頭部前屈は、気道狭窄に繋がり、トリガーエラーや気道内圧の上昇につながります。 4.これらの複合 一番面倒なパターンです。 複合パターンは、一つずつ原因を探索していくしかありません。 あくまでも、ご参考まで。

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