10/12

やっきー先生の子宮頸がんワクチンと癌の説明記事を読みました。いつも勉強になります。
読んでいて、母親の癌が胎児に転移する可能性があるか気になり調べたところ、国立がん研究センターのページで母親の子宮頸がんが胎児に転移して肺がんを発症した事例が紹介されていました。
しかしなぜ転移するのか不思議です…。胎児と母親はへその緒で繋がっていますが、血管は繋がっていなくて、赤ちゃんの体に母親の血液が流入することはないですよね?
どうやって転移するんでしょうか?

ご質問ありがとうございます! ご自分で国立がん研究センターのページも参照されているとは、素晴らしいリテラシーの高さですね。 実は、子宮頸癌に限らず「癌の母子移行」と呼ばれる現象は存在します。 とはいえ、担がん患者さんの出産50万例のうち1例程度という低頻度であり、そもそも担がん患者さんの出産自体が1000例中1例程度であることを踏まえると、 もんのすごく稀な例であることは間違いありません。 「がんの母子移行」(国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科 荒川歩先生)によると、この報告を含め過去に少なくとも20例の報告があるようです。 内訳は白血病が6例、メラノーマが8例、肺癌が3例、子宮頸癌が3例でした。 さて、これらの癌の大半は胎盤と臍帯を介した血行性の移行であると報告されています。 確かに胎盤での母児の血液のやり取りにこういった細胞が入り込む余地はあまり無いはずですが、 血液内の癌である白血病や、非常に転移しやすい癌の一種であるメラノーマが血液を介して赤ちゃんに移行してしまうことは避けられないのかもしれません。 さて、荒川先生らは2例の子宮頸癌の母子移行の症例を報告されています。 これらはどちらも赤ちゃんの肺癌という形で発見されました。 論文中では「赤ちゃんが癌細胞を妊娠中or出産時に吸い込んでしまったのではないか」(かなり要約)と推測されています。 ちなみに2症例とも赤ちゃんは治療を行って健在のようですが、残念ながら母体は亡くなられたようです。まさにマザーキラーです。 結論としては、胎盤を介して癌細胞が移行する可能性はありますし、 赤ちゃんが癌細胞を吸い込んでしまって癌が発生することもある、 といった内容になります。 (ここからはさらに推測ですが、癌細胞を飲み込んで胃に移行した場合は便として出ていくので赤ちゃんが発症する確率は低いものの、気管・肺に入ってしまった場合は癌細胞が出ていくことができず定着してしまうものと思われます) 以上、参考になりましたら幸いです。

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